明けない夜はない
午前3時。
父の亡骸と、母と私と弟。
どれだけストーブを焚いても、寒くて仕方がない。
1時間待って、もう一度父の弟に電話した。
繋がらない。
母の甥に電話した。
繋がらない。
その甥の兄にも電話して、やっと繋がった。
眠そうな声で、話を聞いてくれた。
「分かった。準備できたらすぐ行くから。待っとれよ」
その後も母方の親戚に連絡がつきだした。最初に連絡を取った母の甥からも折り返し電話があった。
「すまん。夜は電話がつながらん設定になってた。すぐ行くからな。お母さんは?ちゃんと見とったってくれよ」
母は6人兄弟の末っ子、うちの他の5世帯とも普段から付き合いがある。それぞれ従兄弟たちも成人して自分の世帯を構えているので、幼児も入れれば母方の親戚だけで、ざっと50人ほどいる。
母方の5つの家族に連絡を取ったが、どの家も反応は同じだった。
「すぐ行くから!」
連絡し終わったころ。
何気なく窓を見た。
空が白んでいる。
鳥がないている。
私はようやく、涙を流せた。
明けない夜はない